こんにちは。講師の橋本です。12月も前半が過ぎ、年末に向かってあわただしさを感じるこの頃です。新宿南口のイルミネーションのテーマカラーは桜をイメージしたベビーピンクだそうです。よく見るとクールなピンクに混じって、暖かみのある黄みのピンクの光も入っているのでした。
現在目黒区美術館で開催中の「色の博物誌―江戸の色材を視る・読む」はとてもお薦めの展覧会です。目黒区美術館は90年代から「青」「赤」「黄」・・・など色に特化した展覧会を開催されてきました。今回は十数年ぶりの色材に焦点をあてた見ごたえ充分の展覧会です。
宗教画のマリア様のコートの色に用いられているラピスラズリや、クレオパトラのアイシャドウに使われたマラカイト(孔雀石)などの本物の鉱物や、藍、紅花、青花(露草の花びらを大きく改良した花)の実物も展示されています。浮世絵や国絵図(江戸幕府に命じられて日本の各国が作った地図)にどのような顔料や染料が使われていたかが分かる興味深い展覧会です。テキストだけでなく実際の物をみると、色材についての知識も深まるのではないでしょうか。ジャズミュージシャンから浮世絵の世界へと転身し、本来分業である浮世絵の彫りも刷りも、全て一人で再現された立原位貫氏の作品も展示されています。浮世絵に使われていた露草が、本当は青花のことだったということが分かったのも立原氏の研究成果ということです。去年亡くなられたのがとても残念でした。
18日までの展覧会ですが、14日には色についてお詳しい学芸員の降旗千賀子氏の無料のセミナーもあります。まだ行かれていない方は足を運んでみてはいかがでしょうか。