日別アーカイブ: 2015年12月15日

乳白色の美、褐色の闇

こんにちは。講師の橋本です。

先日オダギリジョー主演の「FOUJITA」を観に行きました。パリで乳白色の裸婦像で成功し活躍した場面と、日本に帰って来て、中谷美紀演じる5番目の奥さんと疎開先で暮らす、田舎の風景の場面とで大きく2部に分かれている構成でした。あくまでもフジタの伝記としては作らずに、映像美を楽しむような作り方をしています。当時のパリの街並みがうまく再現されていて、画家仲間のピカソやスーチン、モデルのキキがそっくりでした。フジタといえば裸婦と猫なので、個人的にはもっと猫に出演して欲しかったですけれど。(笑)

藤田画像

パリでゴテゴテと色を塗りたくる絵がもてはやされた時代に、フジタは敢えて日本人独自の色彩感覚で面相筆や墨を使って、女性の肌を真珠のような乳白色に際立たせて描きました。映画でも少しだけ絵を描くシーンが出てきます。フジタの裸婦の絵にはよく黒髪や黒トラの猫が描かれていますが、これは明度対比を利用して、より白を明るく見せる効果があるようです。

映画を見た後に竹橋にある近代美術館で行われていた藤田展を観に行きました。もちろん裸婦像も何点かありましたが、映画にも出てきたアッツ島の戦争画をはじめ、時の政府に依頼されて描いた近代美術館所蔵の戦争画が全て展示されていました。乳白色とは正反対の褐色の絵で、戦場の悲惨さを物語っていました。当時は戦争をあおる役割をしたこれらの絵は、現代においては戦争を繰り返してはいけないという画家からのメッセージのようにも思えました。

この映画は「映像がただただ美しい」という感想と「切り貼りしたような構成で、その時フジタが何を思ったのかが描かれていない、物足りない」という感想と真っ二つに別れるようです。さて、皆さんはどのように感じるのでしょうか?